家族信託活用事例C-4:前妻と後妻がいるがどちらにも子供がいないケース

X(75)は、再婚しており後妻B(70)と暮らしています。
Xには、前妻A(65)との間にも、後妻Bとの間にも子供がいません。
Xは、自分が死んだら後妻Bには何不自由させたくないので、遺産はすべて後妻Bに譲りたいのですが、次に後妻Bが死亡した場合には、残った財産は後妻Bの親族側に行くのではなく、前妻Aにあげたいと思っています。
さらに、前妻Aも死んだら、残った財産は前妻Aの親族側に行くのではなく、福祉団体に寄付したいと考えています。

信託活用事例3:前妻と後妻がいるがどちらにも子供がいないケース

解決策

Xは、遺言において、信託を設定します。
その内容は、自分の死後、受託者を信頼できる親戚Zにして財産を託し、その受益者を後妻Bにします。
また、後妻Bの死亡した後の第二次受益者を前妻Aに定めます。
そして、前妻Aの死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先を福祉団体に指定します。

ポイント

通常の相続では、前妻Aに財産を承継させるには、後妻Bにその旨の遺言書を書いてもらう必要があります。しかし、それは後妻Bの意思次第ですので、後妻Bの気持ちが変われば、Xの知らない間やXの死後に遺言書を書き直されてしまうリスクがあり、前妻Aが資産を承継できるという保証はできません。
同様に、福祉団体に財産を承継させるには、前妻Aにその旨の遺言書を書いてもらう必要があり、そのハードルはかなり高いといえます(財産をいつもらえるか分からない今の段階から離婚した前妻Aに遺言を書かせることは現実的ではありませんし、実際に遺産を手にした段階で遺言書を書くことを要請するのも困難を極めるでしょう。)。
このようなケースで、“後継ぎ遺贈型受益者連続信託”のスキームを使うことで、民法上の単なる遺言では実現できない、数次相続に関するXの希望を反映させた財産承継の道筋を作ることができます。
なお、信頼できる親戚がいない場合には、信託受託者Zを司法書士等の第三者が担うことも可能です。

家族信託の活用事例

A.生前の財産管理

B.不動産の共有トラブルを回避

C.資産承継における“想い”を実現

D.争族トラブル防止

E.事業承継

F.福祉型信託